もしもジェスターがLv5になったら



・・・・。

・・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・。

キュピル
「(・・・ん・・・朝か・・・。)」

とある朝。今日は二週間に一度訪れるクエストショップの定休日。
二週間に一度と聞くと過酷な勤務に聞こえるが実際は一日に一件(それも一時間程度で終わる依頼)しか依頼が来ないため実際は殆どが休みだ。
しかし寝坊出来る貴重な日でもあり、定休日は皆起きるのが少し遅めである。
が、ある二人は定休日でも常に決まった時間に起きてくる。
一人はジェスター。いつも午前八時に起きて建物の中を走り回りながら「おはよー!」と連呼するため、長く寝たい人から反感を買っている。
が、いくら叱っても言う事を聞かないため半ば諦められている。
もう一人はファン。ファンは自分の趣味に時間を割いているようだ。

枕元に置いてあるデジタル時計を手に取るキュピル。このデジタル時計はファンが作ってくれたものだ。

キュピル
「(今何時だ・・・。)」

時刻はちょうど九時を迎えた所だった。
これ以上寝ると体内時計が狂い始めるのでベッドから起き上がり着替え始める。
その時、ふと疑問が湧いた。

キュピル
「(・・・あれ?そういえば今日ジェスターの『おはよー!』コール聞いてないな・・・。)」

たまに寝坊するが何故か定休日だけは絶対に寝坊しない。いやがらせか。
・・・珍しく今日初の寝坊か?それとも自分が気付かない程熟睡していたのか。

キュピル
「(後者だろうなぁ・・・。)」

着替え終わり、櫛を使って寝癖を軽く直してからリビングに出る。

キュピル
「おはよう。すっかり遅くまでねちm・・・。」
ジェスター(Lv5)
「あ、おはようー。」



Before





After





キュピル
「え、誰。」





・・・・・。

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キュー
「お・・おーおー・・・。何か背が高くなったなー。・・・おーおー・・・。」
キュピル
「おーおーしか言えなくなってるぞ、キュー。
ファン・・・どういう事か分るか?」
ファン
「残念ですが原因は全く分りません。ペットが進化するには・・・飼い主が修練を積んでいるうちにペットも修練を積み、気がつけば進化している・・っていう事が多いそうですが・・。」
ルイ
「キュピルさんはよく戦闘しますから、経験値が貯まって行きついにジェスターさんが進化した・・って事ですか?」
キュピル
「あー・・。その事なんだが・・・恐らくジェスターはとっくの昔から進化出来たと思うんだが実は進化させるのにジェスター種が身につけてる冠と笛がないと進化できないらしいんだ。」
ルイ
「それは初耳です。誰から聞いたのですか?」
ジェスターLv5
「私が言いました。」
キュピル
「本人からのソースだったし、事実全然進化の予兆も見えなかったし本当だったと思うんだが・・・。どこで失くした冠見つけたのやら・・。」
ルイ
「そういえばジェスターさん、冠被っていませんでしたね・・。」


↓普段のジェスター

(冠がない。)



ジェスターLv5
「タンスの裏にあったよー。」
キュピル
「うわ、地味。」

ファン
「ジェスターさん、Lv5になってから背が凄く高くなりましたね・・・。キュピルさんより少し小さい程度ですね。」
キュピル
「このぐらいしかなかったジェスターが、俺の目の高さの所に頭のてっぺんが来ていようとは・・・。何か部屋が狭く感じる。」
ジェスターLv5
「・・・い、嫌でしたか?」
キュピル
「嫌じゃない。嫌じゃないが何か色々すげー慣れない。その丁寧な喋り口調は一体何なんだ!」
キュー
「そうだそうだー!ルイと被るぞー!」
ルイ
「私の特徴は丁寧語だけなんですか?」

キュー
「ぎゃー!痛い痛い!」
ジェスターLv5
「うーん、前の私って・・どんなんでしたっけ?」
キュピル
「えっ。」

ファン
「キュピルさんはあまりペット学を呼んでいなかったのでご存知ないかもしれませんが、大体のペットは進化すると進化前の記憶を半分ほど失くすそうですよ。」
キュピル
「な、なんだってー!?」

キュー
「半分って曖昧だなー、ファン。」
ファン
「というのも、飼い主や大事な事は殆ど覚えているのですが日常部分や自分自身の性格など重要ではない所は忘れてしまう事が多いそうです。」
キュピル
「いや、自分の性格は重要じゃないのか?」

ジェスターLv5
「もう前の私の事は忘れてしまいました。新しい私に慣れてください!キュピル!」
キュピル
「キュピル『さん』と呼ばれるのかと一瞬身構えたか名前は普通に『キュピル』なのな。すげーギャップ。
ジェスターLv5
「キュピル〜。」
キュピル
「あ、何だろう。この安心感・・・。前のジェスターが戻ってきてくれた気がする・・・。」

ファン
「ジェスターさん。キュピルさんの事はちゃんと覚えていますよね?」
ジェスターLv5
「はい、勿論です。」
キュー
「にひひ、アタシはー?」
ジェスターLv5
「キュー!」
キュー
「おーけーおーけー。」
ファン
「念のためですが、僕は?」
キュー
「ファン。」
ファン
「はい、大丈夫です・・・って、何でキューさんが言っているんですか!!一瞬騙されましたよ!!」
ジェスターLv5
「ファンー。」
ファン
「先にキューさんが言ってしまったので信憑性が無くなってしまいました。」

ルイ
「私は勿論覚えていますよね?」
ジェスターLv5
「アリス!」
キュー
「あ・・え?」

ファン
「アリス・・・?」

キュピル
「・・・あぁ・・・。ルイ・アリス・トラクシー・・・。よりによってミドルネームか・・・。」
ルイ
「それでもアリスだなんて、極僅かの方達にしか呼ばれた事ありませんよ・・。何でルイではなくアリスで覚えたのでしょうか・・・。」
ジェスターLv5
「アリス〜。」
ルイ
「な、慣れないのでルイって呼んでください!!」
キュピル
「(しかし、ルイの名付け親も酷いもんだ。)」

ファン
「(トラクシー。絶対王政時代に深く関わっていた単語の事ですね?)」
キュピル
「(拾ってくれた貴族が名前をつけてそうなったらしいが・・・。何だかなぁ〜。)
・・・ミティア?」
ルイ
「わっ!!その名前は今ここでは言わないでください!!」
ファン
「?」
キュー
「?」
キュピル
「冗談冗談。ルイはルイ。」

キューとファンがヒソヒソと内緒話を始める。

キュー
「なー、ファン。お父さんの今の発言。どういう意味何だぜ?」
ファン
「分りません。」

キュピルがジェスターの顔を覗きこむように見つめる。

ジェスターLv5
「んん?」
キュピル
「(ん〜?じゃないんだ・・・。)
・・・しかしジェスターのタンスの裏には冠なんか転がっていた記憶ないしなぁ・・・。一緒に探したし。
(もしや、また作者か?いや、それにしてはなんて地味なんだ。こんなの異常経験でも絶望でも何でもない。)
ジェスターLv5
「あのー。キュピルー。そんなに見つめられると恥ずかしい。」
キュー
「あーーーー!!おとーさんがジェスターに惚れてるー!!」
ヘル
「なにっ!!道徳違反!!」
輝月
「この愚か者めがっ!!」
キュピル
「お前等時々謎の連携プレイ取r・・・ぐあぁぁっー!!」



ディバン
「んっ、お前ジェスターか。見ないうちにでかくなったな・・・。」
ジェスターLv5
「あ、ディバンだ。」
ファン
「今日一日で大きくなりました。」

ディバン
「・・・ん?・・あぁ・・進化か。おめでとう。」
琶月
「何か騒がしいと思って来てみたら・・・うわーー!!ジェスターさんがーーー!!」
テルミット
「わわわっ!!キュピルさんのジェスターさんが進化しています!!」
ジェスターLv5
「どなたですか?」
琶月
「ああああああああああああああああああああああああああああああ(ry」
テルミット
「僕の場合洒落になりません。」





・・・・。

・・・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・。



ジェスターLv5
「キュピル〜♪」
キュピル
「進化してから異様に甘えてくるようになった。」
ファン
「進化前のその人に大して大まかなイメージ、及び感情を引き継ぐ・・・っと、この本に書いてあるのでLv4の時のジェスターさんはキュピルさんの事が大好きだったと見て良いと思いますよ。」
キュピル
「それは本当なのか?あんなに反抗していたのに。」
キュー
「ツンデレって事だぜ。あーあー、羨ましいぜ。」
ルイ
「そうですね(棒声」
キュー
「げげっ・・。何かルイが怖いぜ・・。」
ルイ
「もう一度聞きます。ジェスターさん!私のイメージは!」
ジェスターLv5
「怖い人。」
ルイ
「うぅぅぅ・・・。泣きたい・・・。」
キュピル
「(ジェスターにそんなイメージ持たれていたのがそんなに怖かったんだな・・・。)」
ファン
「ですが、これから先様々な複雑な感情を持つ事になりますから日々生活していくうちに最終的には元のジェスターさんと殆ど同じ性格になると思いますよ。」
琶月
「でも前の記憶が薄れている今ならその印象を変えることも出来る!ジェスターさん!!私h・・・。」
ジェスターLv5
「まな板。」
琶月
「もう無理です・・・。立ち直れません・・・。」

ヘル
「おもしれーな。おい、俺はどんなイメージだ?」
ジェスターLv5
「最強。」
輝月
「ぬっ!!ワシは!!」
ジェスターLv5
「ヘルより弱い人。」

その直後ヘルが高笑いし、激昂した輝月がヘルに手を出し二人はそのまま室内で乱闘を始めたが誰も気に留めずジェスターへの質問を続けた。

ディバン
「俺はどうだ?」
ジェスターLv5
「良い物くれる優しい人って印象が残ってます。」
ディバン
「そうか。・・・道徳を色々教えたんだけどな。」
ファン
「前のジェスターさんはあまり気にしていなかったって事みたいですね・・・。」
ジェスターLv5
「あ、寝癖がまだ跳ねてますよ。」

ジェスターの指先が光り、キュピルの寝癖をちょんと触ると不思議な事に髪が整い寝癖が治った。

キュピル
「お、ありがとう。」
琶月
「わ、すごーい。ジェスターさんが魔法使った!」
キュピル
「・・・言われてみれば!普通にやってきたもんだから全然気付かなかった!!」
ジェスターLv5
「色んな魔法が使えるようになったみたいです。えっへん。」
キュピル
「(・・・あ、今凄いLv4の頃のジェスターっぽかった。)」
ジェスターLv5
「例えばこんな魔法も・・・。」

ジェスターが指を何度か動かすと、突如食卓の上に御馳走が並び、天井にはシャンデリアが現れ部屋がまるで宮廷のパーティ会場かのように化した。

キュピル
「うっわっ!何だこれは!!?」
ファン
「か、か、か、科学証明デキナイデス!」
ルイ
「す、凄いですジェスターさん!!」
ヘル
「ん、何で食い物は食い途中かのように散らかってるんだ。」
キュピル
「・・・一部齧られた後あるな。」




ルシアン
「あれー?アクシピターの内装ってこんなにしょぼかったっけ?」
ボリス
「今日はアクシピター設立から・・・えっと、何十年記念日でパーティが開かれるはずだったんだが・・・。」







琶月
「うわーーー!!シャンデリアにアクシピターのマークがーー!!」
ファン
「あ、物質を転移させたのですね。」
キュピル
「あーーー!!ジェスターーーーー!!!!」

ジェスターLv5
「ひゃん!」





・・・・。

・・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・。










キュピル
「すいません、ホントすいません・・・!」


琶月
「パーティーを台無しにして怒れるアクシピターの人達を鎮めようと土下座を繰り返すキュピルさん。無様です。」
キュー
「本物の土下座を見せに行きなよ、琶月ー。」
琶月
「まるで私がいつも土下座しているみたいじゃないですかーー!!やだーーーーー!!!」
ファン
「ジェスターさんもちゃんと謝りに行ってください。」
ジェスターLv5
「ご、ごめんなさい・・・。」
琶月
「全然駄目です。土下座しましょう、土下座ーーー!!!」
ヘル
「てめぇーはさっきからうっせーんだよ!!」
琶月
「ぎゃあああああ!!痛い痛い痛い!!ヘッドロック痛いです!!!師匠助けてーーーー!!!!」
輝月
「ふっ。」
琶月
「あああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!」



シュワルター
「仕方あるまい。この者もアクシピターの発展に幾度か貢献してくれておる。今日の所はこの依頼を無償で引き受けてくれたら修繕費用などはこちらで賄おう。」
キュピル
「ありがとうございます!盛大なパーティーを台無しにしてしまい本当に申し訳ありませんでした!」
シュワルター
「三人程行けば達成できる依頼だ。編成を終え残ったメンバーを貸してはくれぬか?シャンデリアを運ばせたい。」
キュピル
「はい、お安いご用です。」
輝月
「キュピルよ、ワシは面倒な事は嫌いじゃ。シャンデリアの付け方や運び方なぞ知らぬ。」
琶月
「それを言ったら私も分りませんけど・・。」
輝月
「お主はワシより世俗的な生き方をしておるのじゃからそのぐらい分ってて当然じゃろうに。」
琶月
「師匠!むしろ世俗的な生き方だとシャンデリアそのものすら見れないと思います!!」
キュピル
「えーっと、とりあえず・・・。討伐依頼のようだ。・・・ん、でも地図に載っていない僻地のペナインの森か・・・。
それならファンかテルミットは連れて行きたい所だ。しかしファンはシャンデリアを運べないだろうから・・・。
俺とジェスターとファンで行く。残ったメンバーは申し訳ないけどアクシピターの手伝いをしてくれないだろうか。」
ルイ
「はい、わかりました。」
ヘル
「・・・ま、結構重いしダンベルだと思えばいいか・・。」
輝月
「ぬぅっ!あれ程ワシを連れてゆくようアピールしたじゃろうが!!」
キュピル
「あががががががっ!!んな事言われても!」

輝月がキュピルの首根っこを掴んで前後に激しく揺さぶり続ける。

テルミット
「アハハ・・・。クエストショップから工具持ってきますね。」
ディバン
「装飾品の一部が剥がれているな。工具さえあれば直してやる。あるか?」
テルミット
「はい。あると思います。ちょっと待っててください。」

何人かがクエストショップへ戻り修繕道具を取りに行った。残ったメンバーは運搬組と指示組に別れ大きなシャンデリアをアクシピターへと運び、キュピルとジェスターとファンはペナインの森へと向かった。




・・・・。

・・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・。



ジェスターLv5
「ごめんさい。キュピル。」
キュピル
「まぁ、良識がないのはLv4の頃からもだ・・。」
ジェスターLv5
「そ、そんなーー!!・・・キュピルをあまり悲しませたくない・・・。」
ファン
「おや。ジェスターさんからそんな言葉が出てくるなんてビックリです。何故そう思うのですか?」
ジェスターLv5
「なんとなく?私も良く分らない・・・。」
キュピル
「素直で可愛いな。でもファン。ここから元々のジェスターの性格が現れてくるんだろ?・・・また前見たいな捻くれた性格に戻ってしまうのだろうか。」
ファン
「高確率で戻ると思いますが稀に違う性格になる事もあるそうですよ。今からもう一度勉強させ直してはいかがでしょうか。」
ジェスターLv5
「えー・・・。勉強嫌だー・・。」
キュピル
「もう前のジェスターに戻りつつある気がするな。

ファン、えーっと、この地図にないペナインの森はどっちに行けばいいんだ?」
ファン
「地図に載ってはいないと仰っていましたがあくまでも道や標識がないだけで大まかな地形地図は頂いています。
この依頼専用の地図によりますと南東の方角に進んで行けば問題ないようです。」
キュピル
「よし、わかった。」

キュピルがコンパスを頼りに南東の方角へ進んで行く。
その後ろをファンが歩いていき、ジェスターは空中浮遊しながらついて行く。


・・・・。

・・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・。

依頼は順調に進行して行くと思われたが予想外な障害が立ちはだかっていた。
それは豪雨。

キュピル
「あーあ、随分雨降って来ちまったな。」

近くの大木に寄りかかり雨避けする三人。
時折葉から雫がこぼれ三人の頭の上に水滴が滴り落ちる。

ファン
「雨が少し止むまで待った方が賢明ですね。」
キュピル
「いつ止むかなぁ。今日中に終わらないといけないのに。」

会話が弾むことはなく、ただ雨が止むのを待ち続ける三人。
その時、ジェスターがキュピルに話しかけて来た。

ジェスターLv5
「キュピル。前の私はどういう性格だったのですか?」
キュピル
「ん?正直に言ってほしいか?」
ジェスターLv5
「はい。」
キュピル
「強情で我がままで自分がやりたい事しかやらず、単純でしかも皆を困らs・・。痛っ!」
ジェスターLv5
「あ・・。ごめんなさい!何か気が付いたら勝手に手が出てました・・。」
キュピル
「そうそう、よく手も出してきたn・・・いてっ!」
ジェスターLv5
「あ、あれ・・・。」

隣でファンが目を丸くしながら二人の様子を伺っている。
気にせずキュピルは話しを続けた。

キュピル
「・・・でも・・いや、だからこそと言うべきなのか。何を考えているか分らないからこそ、突然好意を与えてくれた時は思わず嬉しくなるし、想像もしていなかった行動で不意に癒されたり。皆に可愛がられていたのは事実だったな。」
ファン
「ジェスターさんは謀略や裏の顔がありませんでしたから皆安心感を抱いていましたよ。」
ジェスターLv5
「えへへ。」
キュピル
「ジェスター種は進化するとドンドン知能が上がっていくらしい。でも俺は昔のジェスターと同じように自由な行動を振舞ってほしいな。皆もきっとそれを望んでいるはずだよ。」
ジェスターLv5
「好きに行動して・・って事ですか?」
キュピル
「そう。あ、勿論犯罪行為をしたときはきつく叱るからな。」
ファン
「善悪だけしっかり判断してくださいって事です。」
ジェスターLv5
「うん、わかった♪」
キュピル
「良い子だ。」

キュピルがジェスターの頭を軽く撫でる。嬉しそうな表情をしながらニコニコ笑うジェスター。

キュピル
「(素直で可愛いな。)
・・・お、雨が止んだぞ。確か目的地はすぐそこだったよな。」
ファン
「はい。討伐モンスターはペナインの森には存在しないはずのモンスターで危険度も低いのですぐに終わるはずです。」
キュピル
「さっ、行くぞ。ファン、ジェスター。」

三人とも立ち上がり目的地へ向かい始めた。




・・・・。

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・・・・・・・・・・・・・・・・・・。






それから数カ月後。




ジェスターLv5
「やだーーーー!!機械のネジじゃないと食べなーーーい!!」
キュー
「うわっー!おとーさん!ジェスターがまた暴れたー!」
ヘル
「くそ、また出番か!」
ジェスターLv5
「パーンチ!!」
ヘル
「うぼぁっ!!!」
テルミット
「うわっーー!!ヘルが壁突き破って吹っ飛んで行きました!!」
ジェスターLv5
「あ、機械のネジだ。ぱくっ。」
ファン
「あああーー!!ジェスターさん!!それは大事な機械のパーツです!!」
ジェスターLv5
「わかんなーーーーーーーーい!!」
キュピル
「どうしてこうなった。」


始めの一ヶ月目こそ素直で可愛いかったのだが三カ月ほど経過した今はすっかり本性を現し元のジェスターに戻ってしまった。
それどころか進化したことによって魔力もパワーも劇的に上昇しており暴れると誰も手がつけられなくなってしまった。

ルイ
「キュピルさん!!早く・・・早く狩りにいきましょう!!!Lv5ですから狩り続ければ過剰に経験値が貯まり退化します!!」

ルイが慌てながら銃器に弾薬を詰め込みキュピルに手渡す。

ジェスターLv5
「あー。ルイが私を陥れようと謀略を謀ってるー。銃器も食べちゃう。ぱくっ。」
ルイ
「わっーーーー!!私のデザートイーグルが!!」
キュピル
「頼むぅぅぅ・・。退化してくれぇっ・・・・。」

ジェスターLv5
「いーやーだー!それに自由に振舞ってって言ったのはキュピルだからね?私は何も悪くないもん!!」
輝月
「お主の無用な発言のせいで我が刀は奴に折られるわ修行もできぬわで災難じゃ!!我が道場に帰らせて頂く!!」
琶月
「と、というわけで・・・お世話になりました・・・。」
ヘル
「こんな所にいられるか!!テルミット!出てくぞ!」
テルミット
「え!?あ・・・と、突然ですがお世話になりました・・・。」
ディバン
「あいつと居ると俺の体がもたん・・・。しばらくは来ないからトレジャーハントの依頼が来ても拒否してもらって構わん。」
キュピル
「うおぉぉぉーー!!?何で皆急に出て行くんだ!!?皆居なくなっちまったら本当にジェスターを止められなくなる!!」

ジェスターLv5
「キュピルは大人しく私の言う事だけ聞いていればいいの。奴隷奴隷ー。あ、こういうの下剋上って言うんだよね。私は頭良いー!」
キュー
「ストレス死にしそうだぜ・・・・うぐぅ〜・・。」
ファン
「こ、今度はキューさんが倒れました!!」
キュピル
「ジェスターのせいで家庭崩壊だ。出てってくれーーーーーー!!!」




・・・・・・・・。



・・・・・・・・・・・・・・・。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。












ルイ
「キュピルさん。もう11時ですよ。起きたらどうですか?」
キュピル
「ぐあ〜、ジェスタぁ〜・・でていけぇっ〜!」
ルイ
「ちょ、ちょっとキュピルさん・・。一体どんな夢を見ているんですか!起きてください!」
キュピル
「う、うわぁっー!!る、ルイか・・・。」
ルイ
「おはようございます。・・・何か凄い夢を見ていたようですけど大丈夫ですか?」
キュピル
「はぁ・・はぁ・・。ゆ、夢か・・・。地獄だった・・・。」
ジェスター
「あ、キュピルが起きた。」
キュピル
「ジェスター!!絶対に進化するな!!いいな!!?」

ジェスター
「????」


終わり


追伸

もっといい話しの使い道があっただろうに。もったいない。


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